●ボディの補修
裏側と内装の一部の作業を終えましたので、劣悪塗装のボディ表面を撫で回すことにします。検証の結果、純正のイエローから、もう一度イエロー、そしてハケ塗りオレンジ、ブッカケ艶消し黒という塗装歴が判明しました。一度目の全塗装は間違いなくプロの仕事で、マメにラッカーパテで傷を拾ったり、下地にサフェーサー、そして裏打ちの白を重ねるなど、丁寧な仕事がなされています。その後は超厚塗り&手抜きの素人作業ですが、保護膜としては上等です。
まず手始めに、不要なものを捨てます。フロントフェンダーのステーですが、腐食がある上、ここに水を流す構造が気に入りません。よってスポットを飛ばして撤去します。
勿論、反対側も撤去。溶けているほうがバッテリー側です。
破壊行為を終えて、塗装の剥離に入ります。まず、絶対に剥離剤は使わないとココロに誓いましたので・・・それに従います。とにかく溶剤系はお手軽感があるのですが、後処理の手間とサビ対策に関してはあまり良くありません。また、オレンジと黒を落とすことで補修の程度や手法が良くわかります。
スクレイパーは3種、どれも砥石で研いで使いやすい角度を作っておきます。とにかくひたすらカリカリ、コリコリ。
空いた時間は少しでも塗装削りです。フェンダーを残して左側面が大方剥離できました。少し見難いですが、やはりオレンジに塗る際に結構適当な補修が・・・・・。サビの箇所にサフを入れて塗ったのですね。私の作業も含めて、こういった補修を良いと見るか悪いと見るかは人それぞれです。見方を変えると、当時の各オーナーは何とかしてこのクルマを維持しようとか、復活させようとか、そういう気持ちで作業していたともいえます。そうでなければ素人がボディにサフを入れたり、パテを盛ってみたりすることは、まずありません。これが商売がらみの適当作業や誤魔化しだと、どうかと思いますが、これらの修理は希望に満ちたものだったのかもしれません。そう思うとこの発掘作業も楽しいものです。
ボディもフレームに着地して、左側面のほぼ全てが黄色になりました。チャームポイントであるリブやエッジがクッキリと浮かびあがり、清潔感が出てきました。同時に、要補修の箇所も・・・・・・・
フェンダーです。オレンジにする際に、この部分が錆びていたのでしょう。塗装を剥がし、同時にシーラーも全て剥がしてパテ入れされています。しかしながら裏側から水が浸入し、内部でサビが発生。パネルはボコボコです。この辺りは全面がパテです。裏からフェンダーがロウづけされている箇所であり、表面から誤魔化しても内部からのサビは容赦ありません。当方のSJ20Vなどはその典型で、未だに至るところでサビが進行しています。
と、いうことで切断。勿論、何も考えずに切っている訳ではございません。元々つけていたオーヴァーフェンダーは、上から被せるタイプですので泥が溜まり、サビをよびます。おまけにサスが全力でストロークするとフェンダーに接触寸前でしたので、この機会にフェンダーアーチを上にずらすことにしました。車高を上げてクリアランスを稼がなくて良いので、重心が上がらないのがメリットです。因みに当方の車両は記載変更で全幅が広がっていますのでご安心を。ちゃんと計算して切りましたので違和感もなし。
さて、他の箇所の補修です。ここは上下のパネルが重なり、その裏からフェンダーがロウづけされています。つまり鉄板3枚重ねです。SJ10、20では名所ですね。同様にサイドパネル上部の鉄板の重なり、ここも内部からの腐食によって凸凹です。ここは一旦切り開いてサビを処理しなくてはなりません。
このようなパネルの合わせ目はよくサビる箇所です。原因は裏側から浸入した水分。裏からも開いて、可能な限りサビを落とした後に防錆。更にオンドリーで元に戻します。POR15を塗布したのでココは接着されてしまいます。全部終わったら裏からシーラーを入れます。
次いでここも定番箇所。やはりパネルの合わせ目です。同様に切り開いて処理しました。ついでにココのラインはスムースしてしまいます。下の水平に走るラインまでスムースするとバランスが悪くなりますので、下側はそのまま残します。それにしても、随分とパテが乗っていますが一体・・・・・・・・・
と、ボディを撫で回していると違和感が・・・・・・・・。このボディ、後ろ側でやたらと膨らんでいます。研ぎ出しでみると三層にわたる分厚いパテが出現しました。何故でしょう。答えは先程のパネル合わせ目のサビです。フェンダーとボディ後ろのサビで隆起した部分を誤魔化すべく、パテが厚盛りされている訳ですね。地金を出すと絞りハンマーの打痕が現れましたので、恐らくレストア的なものではなく、事故修理か何かがあったのだと思います。その証拠に防錆がなされていません。
どちらにしろ、ボディサイドはスムーズィーな仕上げにするつもりですので、イチから面出しするということで自分を慰めます。ついでの自慰行為として車内への浸水防止と、フェンダーが上がった分のバランスを取るため純正幌ホック用の穴も埋めてしまいます。
全て埋まりました。ここまでグネグネのボディだと、面の基準が全くわかりません。ストレートエッジを八方向から当てて平らな部分を探すと、どうやら一番手前の部分が辛うじて平面でした。よってココを基準にパテを薄付けします。このくらい広範囲のパテ入れでは、ヘラ使いに気を配って綺麗に入れないと研ぐのも面を出すのも大変になります。あれ?この辺りを見て「ストレートボディやぁ〜」と萌えていたのは誰でしたっけ・・・・・・